君と、恋
「着いた!海~!」
助手席から、
甲高い声を出す結衣。
「うわ、すっげ~!海だ!」
隣では嬉しそうにはしゃぐ
龍司さんがいた。
「じゃあ、ここがみんなの部屋ね!1人1部屋、自由に使ってね」
文句なしの部屋。
内装も外装も綺麗で、
どこかの城に来た気分。
「紗月と……飛鳥ちゃんだっけ?」
同じ学校とはいえ、
面識のない彼女。
もちろんあたしも、
話したことはなかった。
「あ、はい。篠原(シノハラ)飛鳥です。お願いします」
終始低姿勢の彼女を、
誰も気に入らないわけがなかった。
「かしこまらないでね!あたし結衣で、こっちが紗月。気軽に声かけてね!」
そう言われてほっとしたのか、
彼女は頬を緩ませた。