君と、恋
「え、へへ…ちょっと、ボールを…」
哲の引き締まった体に
抱きついてしまった。
「もうこんなことしちゃだめだよ」
哲は動かなくなったあたしを見ながら、
自分の向こう側に行ったボールを
手に取ると、結衣に向かって
大きく投げた。
結衣はボールを受け取ると、
大きな声で礼を言い、そのまま
海に戻ってしまった。
「ご、ごめん。もう触んない…」
「どうしてだめか、分かる?」
まるで2人だけの空間に
入ったかのようだった。
周りの音も何も聞こえなくなって、
頭に浮かぶのは、哲の言葉ばかり。
「分かん、ない」
「それはね、俺の…」
ゆっくりと近づいてくる哲に、
少しだけ恥ずかしくなって顔を
赤らめてしまう。
「理性、吹っ飛んじゃうでしょ?」
理、性…理性?
「だから、続きは部屋で。分かった?」
要するに、男の子だから。
って言いたい?
「え、あ…うん、分かった、けど」
続き、って…何。
別にあたしそんなつもりじゃ…。