君と、恋
「あ、あたし…!」
「ん?」
その場にいるのが気まずくて。
あたしは1歩後ろに下がった。
「海、行ってくる…ね?」
「じゃ、俺も。あ、ほら」
「えっ、ちょっ…」
立ち上がったかと思うと、
何の理由か、哲はあたしの
目の前に立ちはだかった。
そして後ろに回り、
耳元に口を近付けた。
「これ、忘れちゃだめでしょ。俺、楽しみにしてたんだから」
哲は甘い声でそう言い、
あたしのチャックをゆっくり開けた。
ドキドキして、抵抗も出来ず。
されるがままに、されるあたし。
全部脱がされると、今度は
前に回ってきて。
「やっぱ、やめときゃよかった…」
あたしをぎゅっと、
抱きしめてくる。
「て、哲…?どうし…、」
「んで、ビキニなんだよ…ったく」
何で、って。
これしか持ってないし。
「後でこれ、脱いでね?」
「…へ?」
「行こ、海」
何を言っているかも。
どういう意味かも。
全く分からないまま。
チャックをあげられ、
さっきと同じ姿になった
あたしは、海に
駆り出されてしまった。