君と、恋
「俺、あの子の所行ってくるから」
待ってろ、と言われ
あたしはその場に立ち尽くし、
哲の背中を見送った。
そんな離れていない距離だからか、
男達の会話が耳に入る。
「お姉さん、ほんと可愛いね~」
「連れがいてもいいからさ」
「俺達と遊ぼ~よ!」
本当下心が見え見えな言葉。
3人の男達は困っている飛鳥ちゃんを
気遣うこともせずどんどん攻め寄る。
…てゆうか。
何で飛鳥ちゃん1人なの?
「手、離して」
口説き文句を言いまくってる男の手を
力強く握ったのか、1番近くにいた
男の顔が少し歪んだ。
「んだよ、てめぇ」
手を掴まれた男は少し驚きながら、
精一杯振り払って、哲に詰め寄る。
哲は一歩も後ろに引かず、
男達を見下ろす。
「その子、俺の連れなんで」
哲はそう言って、飛鳥ちゃんの手を
優しく握って引っ張った。
「待て待て待て~」
「きゃっ!」
男達は、逃がさんとでも
言うように飛鳥ちゃんの
手を引いた。