君と、恋
「この子は俺達と遊ぶんだぜ?」
「な、お姉さん。こんなやつほっといてさ…」
男の1人が、飛鳥ちゃんの
耳元で囁くように話す。
嫌がるのが目に入らないかの
ように、しつこく何度も。
「まじで。やめてもらえますか?」
哲は、いい加減に…と、
飛鳥ちゃんを自分の後ろに隠した。
見える飛鳥ちゃんの背中は、
小さく震えている。
精一杯守っている哲。
だけど…、本来守るべきなのは
十夜なのに。
「お兄さん…退いてよ」
しつこい男達は、
まだ突っかかってくる。
「悪ぃけど、退かねえよ?」
やり取りを見ながら、
下に置いてあるパーカーを
手に取った時。
「ふざけんな!」
大きなその一言と共に、
哲が殴られた。