君と、恋
「市橋…龍司さんですか?」
「お前、相川結衣だろ?」
睨んでいる女は、
結衣の名前をフルネームで言った。
どうしてこの人たちは、
あたし達の名前を知っているのか。
「そうですけど…何ですか?」
「お前らか。最近龍司たちの周りをうろうろしてるっていう女は」
…これはきっと。
元カノとかの類の人だ。
「やって」
金髪の女は、
顎をくいっとあたし達の
方に向けると、
後ろにいた男の人たちは
いきなり動きだした。
素早い速さであたしは口を押さえられ、
身動きが取れなくなった。
うっ、となったかと思えば
お腹を殴られていて。
遠くなる意識と共に、
結衣の悲鳴だけが頭の中に
残っていた。