君と、恋
と、同時に。
携帯の着信音が流れた。
「出ていいよ。きっと、もう連絡はこっちから行ってるはず」
何で。
もう連絡いってるの?
この人たちは、一体
何が目的なの?
「も…もし、もし」
ディスプレイには、哲の名前。
携帯を耳に当てれば、
優しい声が聞こえてきた。
『紗月っ!大丈夫か?!』
走っているのか。
息が少し上がっている気がした。
「あたしも結衣も無事だよ!」
『それより今、どこにっ…』
「上坂、聞こえるか?」
あたしの携帯を強引に奪うと、
目の前の男は哲に話しかけた。
何を会話してるか全く聞こえない。
聞こえるのは、目の前の
男の楽しそうな声だけ。
「今から15分以内に来い」
ケラケラ笑う男たち。
あたし達は、それを見て
血の気が引いた。