君と、恋
「昔、中学の中で派閥があってね」
だんだん近付く距離に
震えながら必死に男の話に耳を傾ける。
「上坂と市橋はね、いつも最強だったよ」
昔を思い出してるのか。
少し足が止まって、
懐かしむような声色になった。
「だからね、いつか復讐してやるって決めてたんだ」
だからって。
やっていいことと、
悪い事があるでしょうよ。
なんて、冷静な突っ込みを
入れながら。
「それじゃあ、さっきの女の人達は…」
「あ、あれは彼らを好きだったやつら。もっと言えば、今でも好きみたいだけどね」
あぁ。
だからあんなに鋭い目つきで
見られてたんだ。
「こっちおいでよ。仲良くしようぜ」
「い、い、いや…」
早く。早く。
ここから助けて…。
この時あたしは。
なぜか。来ないと分かっていたのに。