君と、恋
「と…やぁ…」
「紗月!」
涙が溢れたの。
思わずほっとしたのか。
上手く息が出来ない。
「そいつの手…、離せよ」
「あ?誰に向かって物を言ってんだ」
あたしを掴んでる男が声を張り上げる。
前にいる十夜は、
だんだん近付いてきていた。
「離せっつってんだろ」
「うるせぇ、誰だお前は!」
「ガタガタ言ってっと、舌噛むぞ」
もう手を伸ばせば、
届く距離にいる十夜。
「それ以上近付くと、この女殺すぞ!」
男がそう叫ぶと。
「その前に俺が、お前を殺してやるよ!」
そう言って男に掴みかかると、
気を失うまで殴り続けた。