君と、恋
その後、結衣の周りにいた男も
気を失わせることに。
その場にいた男は、
十夜の手で簡単に潰されて
しまった。
「十夜くん…、」
「結衣大丈夫か?怪我、ねぇか?」
「…ん、大丈夫。あたしより…紗月が…、」
結衣があたしを指差す。
十夜は自分の上着を結衣に被せると、
そっとその場を離れて
あたしの方に歩いて来た。
「紗月…、無事か?」
「だ、大丈夫だよ!こんなの平気…っ」
いきなり目の前が真っ暗に
なったと思えば。
十夜の匂いがして。
目には涙が溢れた。
優しく頭を撫でてくれた
十夜は。
あたしにそっと。
「無理すんな、もう大丈夫だ」
安心出来る言葉を
くれた。
「こ…わか、った。十夜…あたし、」
「大丈夫だ。紗月、もう大丈夫だよ」
静かな優しさと温もりが。
あたしを安心させてくれた。