君と、恋
「…、行こっかな」
何てったって。
あたし単純だから。
嬉しくなっちゃって。
「…やっぱり高いね、ここ…こっわぁ」
「大丈夫だよ、紗月。ほら」
哲はあたしを見つめる。
あたしは景色すら見れず、
顔を下に向けていた。
だって、だって。
やっぱりまだ恥ずかしいよ。
「紗月、顔上げて?」
「やだ、無理、怖いもん」
「ほーら、紗月。これ見て?」
「…え、」
その時。
哲がすがるような声を
出すものだから。
あたしってば、何故か。
顔を上げた。
「何ちゃって。ごめんね」
そして哲は。