彼と私と隣の彼
あーあ…
何かもう帰っちゃおっかなあ…
でも鞄は教室だし。
…とりあえず戻ろう。
と、したのだけど…
「どこ…?」
見たことのない廊下。
おまけに窓の外をみればいつもと違う風景。
待って…。
あたし、どこ歩いた?
何も考えずに歩いたあたしはどうやら普段は通らない廊下を歩いてたらしい。
まさかのまさか。
違う校舎だったりして…?
うちのバカでかい高校は結構有名な進学校で、設備も十分すぎる程整っている。
体育館は端と端に2つあるし、集会に使われる大きなホールなんかもある。
尚且つ学年別に校舎が違うのだ。
渡り廊下で繋がれた3つの校舎は行き来こそ自由だけど、わざわざ用もない違う校舎に出入りしようなんて思わない。
でもあたしが今いるのは…
第三校舎?
きっとそう。
3年生の校舎に来てしまったみたい。
どうしよ…
第三校舎なんて来たことないよ?
来た道を戻ろうにも廊下はいくつかに分かれ、方向音痴な上に何も考えずに歩いてきたあたしが、どこから来たかなんてわかるはずない。
どうしよう…
昼休みももうすぐ終わる。