彼と私と隣の彼


先輩が好き、好き、好き。


1年以上の片思い。



好きで好きで好きで好きで…


ずっと好きなの。



好きなはずなのに…




「…わかんない。」





あたしを助けてくれた先輩も。


今あたしの横に座る春人も。


あたしの事を覚えてくれていた先輩も。


ケータイのメモリを全部消した春人も。


あたしの好きな先輩も。


あたしを好きだという春人も。



全部、全部わからない…。




二人の顔が浮かんでは消え、頭の奥深くにまで沈んで行く。


脳にこびりついた先輩の笑顔と優しい声。


同時に被さる春人の口説き文句。



あたしは一体…。



先輩が好きなのに…これは何?


春人の声が表情が行動が、頭から離れない…





当然の如く、昼からの授業なんてこれっぽっちも頭に入らなかった。



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