彼と私と隣の彼
「春人にとって女の子って何?」
いつもいつも違う女の子と会って、キスもそれ以上だって…
誰とでもできちゃう春人。
そんな春人にとって…
女の子って何?
あたしって何?
「俺にとって女の子は女の子だよ?」
「…意味わかんない。」
「詩乃ちゃんは詩乃ちゃんで、詩乃ちゃんは特別だよ。」
そう言った春人の瞳はものすごく真剣だった。
ほら、見て。
あたしの苦手なその瞳。
反らしたいのに反らせない。
いつもはやめてよ、なんて冗談で返せるのに、そんな真剣な瞳で見られたら誤魔化せない。
何も言えなくなっちゃう。
春人はずるいよ…
「じゃあ、どうしていつも女の子といるの?」
「だって女の子が寄って来るんだもん。」
…そんな理由?
「断れば良いじゃん…。」
「まあ、そこは詩乃ちゃんにはわかんないとこだよ。」
…何、それ?
どういうこと?
「意味わかんない。」
「ん、いいの。」
詩乃ちゃんはわかんなくていいの、って二度繰り返す春人にますます混乱するあたし。