彼と私と隣の彼
「あたしもそのうちの1人にしたいの?」
「それは違う。」
断じて違う。
首をうんうんと縦に振りながら答える春人に、あたしの頭もさすがに限界。
クエスチョンマークが頭の中に無数に広がる。
春人って何者?
一体何をしたいの?
「春人すっごく意味わかんないよ?」
「うん、知ってる。」
ニコッと笑った春人だけど…。
知ってるならわかるように言ってよー…なんて思ったり。
「春人はさ…彼女作らないの?」
「彼女?」
「そう、特定の彼女!作らないの?」
大勢の女の子じゃなくて、1人の女の子!
いつまでもそれじゃあさすがにいけないでしょ?
「だから俺は詩乃ちゃんが好きだっつってんじゃん。それとも何、詩乃ちゃんが俺と付き合ってくれるの?」
ニコニコしながら言われたそのセリフ。
こんなにも自然にサラリと好きだなんて言える春人は、やっぱり慣れてるんだなって嫌でも思ってしまう。
「…全然説得力ないよ。」
「えー?こんなに好きなのになあ…。」
「だったら普通、他の女の子になんか手出さないでしょ?」
好きな子がいるのに…変だよ。
そう付け加えたあたし。
春人には無理な話。
わかってるけど。
ちょっと言ってみただけ。