四月馬鹿、偽りのプロポーズ。【BL】
「有貴さん!結婚するなら僕と……。僕と、結婚して下さい!」
なんて、言ってしまった。
僕は、至って真剣だ。
でも、せっかくのプロポーズ。
雰囲気とか、シチュエーションとか。
もっと良い時に言いたかった。
だけど、今言わないと兄ちゃんに取られちゃいそうで……
「翔くん」
「は、はい……」
有貴さんが、僕と向き合うようにして座り直す。
柔らかに微笑んで、有貴さんは言葉を続けた。
「ありがとう、翔くん。俺、翔くんに大切に想われてて嬉しいよ」
「あの……ッ、僕、本気なんです!有貴さんとしか、結婚したくないよ!」
「翔くん、落ち着いて。流羽の冗談を鵜呑みしちゃ駄目。それに翔くんはまだ若いんだから、ね?」
有貴さんは、僕の言葉を兄ちゃんと同様に、冗談にしか受け止めていないんだ……
僕は……こんなにも本気なのに……
こんなにも有貴さんが好きなのに……
やっぱり有貴さんにとって僕は、ただの弟みたいな存在なだけなのかな……