四月馬鹿、偽りのプロポーズ。【BL】


「翔、お前は有貴のこと、本気で好きか?」

「好きだよ……好きだから、プロポーズしたんじゃん。……やんわりと断られちゃったけど」

「俺も、有貴のことが好きだ」

「え……?じょ、冗談は止してよね」


有貴さんの胸に埋めていた顔を上げて、兄ちゃんを見る。

冗談……

そう思ったけど、兄ちゃんの瞳の奥は、さっきと同じ“マジ”だった。


「俺も、有貴のことが好きなんだ。……でもな?」

「で、でも……?」

「いくら有貴のことが好きで、結婚したい、一緒になれならどんなに幸せなんだろう……って思っても……思って、も……」


語尾がどんどん小さくなっていく兄ちゃん。

兄ちゃんのプロポーズも、有貴さんにかわされちゃってたもんね。


きっと思い出して、泣けてきたんだ。


そして兄ちゃんは、大きく深呼吸して、言った。


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