四月馬鹿、偽りのプロポーズ。【BL】


「兄ちゃん、それ、本当に本当?」


念のため、もう一度訊ねる。


もしかすると、僕が兄ちゃんの予想以上に食い付いたもんだから、嘘だと言い出すタイミングを見失ったのかもしれないし。


「本当だ。俺の目を見ろ!冗談を言ってるように見えるかー?」


じいっと兄ちゃんの目を見つめる。

言ってることは全体的に胡散臭いし、兄ちゃんの顔も胡散臭いけど……

目は多分、本気?な気がした。


っていうか、馬鹿正直な目をしていた……かも。


「翔、どうだ?俺はいつだって本気と書いてマジだぞ」

「……確かにそうかも。疑ってごめんね」


普段の僕なら、こんなこと、絶対になかったのに。

どうして僕は、この日に限ってこんな簡単な嘘を、容易に信じてしまったんだろう……


兄ちゃんの言葉を信じたばかりに、僕がまさかあんな恥をかいて、あんなことを知ることになろうとは……

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