四月馬鹿、偽りのプロポーズ。【BL】
だけどそうやって言い聞かせても、想いは膨らみ増していくばかり。
有り得なくてたって、僕はあの人が好きなんだ。
そう、心のどこかで吹っ切れた時の、兄ちゃんの言葉があれだ。
僕の他にも、僕と同じ気持ちの人がたくさんいるんだ、って思えた。
すごく、嬉しかった。
僕は、有り得なくないんだ──
物思いに耽っている内に、さっきまでそこにいた筈の兄ちゃんがいなくなっていた。
春休みだし、遊びにでも行っちゃったのかな?
テレビでも観ようと、リモコンに手を伸ばした時だった。
玄関の方が、なんだか賑やかで。
その賑やかさの中に、僕の愛しい人の声が、紛れていた。