四月馬鹿、偽りのプロポーズ。【BL】
「流羽(リュウ)さ、この間のあれ、言った?」
有貴さんがニヤリとして、おやつの用意をする兄ちゃんに言った。
「言ったけどさー、なんか意外と本気にされて。俺、めっちゃ複雑」
ん……?
何の話なんだろ?
いいな、二人だけにしかわからない会話。
兄ちゃんが、羨ましい。
有貴さんと同じ年に生まれた兄ちゃんが、羨ましい。
有貴さんと、また同じ学校に通える兄ちゃんが、羨ましい。
せめてもう一年早く僕が生まれていたら、有貴さんと一年間、同じ学校に通えていたんだけどな。
けれど、どんなに強く想っていても、僕が有貴さんと過ごせる時間は必然的に兄ちゃんよりも少ないんだ。