ありえないヒトメボレ
私のなにがどう好きになったのですか
 次の日から『カナ』は驚くくらいメールをしてきた。


fromカナ
て、いうか、八緒は何やってるの?

返事
学生。

fromカナ
あ、そういえばバカデカイ鞄もってたね。学生って観じ。

返事
どーも。

fromカナ
返事冷たくない?俺八緒のことすごい好きなのに。

返事
どこが。

fromカナ
全部。だって一目惚れだから。

・・・ひとめぼれ?


「やっつー、なに般若みたいな顔してるの?」
「わっ、驚いた。」
メールの内容が理解できなくて顔をしかめていたら、親友の美也に肩を叩かれた。
「何、携帯ばっかり見て。そんなの見てても、もう『あの人』からのメールはこないよ。」

思わず美也を睨んだ。

「ごめん・・・」
冗談のつもりだったらしい美也は思わず下を向いた。
「私もごめん。」
しばらく沈黙。

「ね、やっつー、こないだのライブのカナの話聞いてよ。もう、すごいかっこよかったんだからぁ。もうね、客席に向かって投げキスもすごいしてくれたし、ギターソロは色っぽかったし、もう教祖様って感じ。」

「ねぇ、そのカナってどういう女が好みなの?」

「あー、やっつーもカナに興味が湧いたんだ。いいよ、仲間は多いほうが楽しいから。えっとね、なんかスレテナイ純粋そうで優しい小さい子が好きって。自分が大きいから、小さい子を守ってあげたいらしいよ。やっつーとか、ちょージャストミートだよ。」
ちょうど肉?あ、違うな。
「もう、今日は帰り道全部カナの話してあげるよ。帰ろう。」
美也は私の腕を掴んで立ち上がらせてくれる。
「ありがとう。」
「いいえ、お互い様です。」
美也は昔から優しい。何かと気が利くし、悲しいときは慰めてくれた。



あの時も。



しかし、まさか帰りの二時間ずっとカナ話は精神的にきつかった。

しかも家に帰ったらカナからのメールが溜まっててもっときつかった。

女子高生か、あいつは。


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