凛と咲く、徒花 ━幕末奇譚━
―――どさっ。
目覚めた部屋まで連れてこられ、引き戸が開けられると同時に部屋に押し込まれた。私は膝から床に崩れ落ちる。
「下手な真似はしないことだ。ここでおとなしくしていろ」
戸に手をかけ、私を見下ろす彼女。
「おとなしくしてたら……殺したり、しませんか?」
私はうっすら涙の膜が張った瞳を彼女へ向け、弱弱しい声を出す。
東雲さんは短い黙考の後、微かに暗い影を帯びた表情で一言、呟いた。
「私は、希望となるような言葉をかけられる立場ではない」
そのすぐ後に戸は閉められ、私の頬を涙が伝い落ちた。