*Sweet×Trap* ~放課後のLOVEパレット~
いつの間に?
足音なんて全然しなかったのに。
やっぱり、猫みたい。
「でもキミのおかげでカギをかけ忘れたことに気付けました。一応お礼を言いますよ?
しかしもうこんなことはしない方がいい。危ないし、オンナのコのすることじゃありませんからね」
「……」
「どうしたんです? 忘れ物ですか?」
「違、う」
「じゃあ、僕に用ってことですか?」
「……センセ、」
「はい?」
「辞めるの? 学校」
あたしの言葉に、少しだけ黙ったセンセイは、
「誰に聞いたんです?」
「……上原さんに」
「そうですか」
「辞めさせられるの?」
センセイの腕をすり抜けて顔を見上げると、
「中に入りましょうか。カギもかけないといけませんし、ここじゃ冷えますから」
そう言って、夜風にさわさわと揺れる桜の葉に視線を向けた。