*Sweet×Trap* ~放課後のLOVEパレット~
わざと顔をのぞき込み、落ち着かない視線をとらえると、
「あ……のさ、センセイ、」
慌てた様子で口を開いた。
「ん?」
「……ありがとう」
「なんですか、突然」
「あたしまだ、描いてもらったことにお礼言ってなかったから」
頬を染めながら、照れくさそうに。
きっと、それを言うために今日はここに来たんだろう。
負けず嫌いらしいから。
一つくらい文句を言ってからと考えていたつもりが、うまくいかなかったらしい。
「だから、ね……離し、て」
つかまれてる腕をしきりに気にして。
そういう姿が、胸の深いところをくすぐるということを……分かっているんだろうか。
「……っ、」
思わず引き寄せた腕の中。
のどを鳴らして、小さなカラダを固くして。
まったく……
ここが学校であることを、そして自分は教師であることを、
時々忘れそうになるから困ったものだ。