真実の奥に。
「千枝、さっきはドンマイだったねぇー」

「もう・・・忘れて・・・」

ニカニカと笑いながら言うよっしーに、あたしはうな垂れた


よっしーは、バリバリの体育系で、女バスのキャプテンだ
髪はやっぱり短いけど、とっても似合っている


「あ、そうだ。5人で遊ぼうってなってたけど、

みんな予定大丈夫?」

しっかり者の槙が全員に確認を取った


そのときあたしは気づいた


沙羅の表情が固いことに。



「沙羅?」

と、一声かけるとぴくっと小さく肩を震わし

「うん?」

と、いつもの屈託ない笑顔を向けて返事をした


沙羅は基本おとなしいタイプだけれど

仲良くなれば最初の沙羅が信じられないくらい

明るくて元気な面を見せてくれる


外見は美人もかわいいも当てはまって、男子にきっとモテるんだと思う



そんな沙羅だけど、近頃なにか悩みを持っているように見える


たまに、ふと暗い顔を見せたり、ぼーっとしているときがあるから
心配なんだ



――――そして、あの時のことがあるから。







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