真実の奥に。

「真面目?私が?どういうところが?」

なんだか風香は八木を挑発しているように見えた


「・・・・。 いつも勉強しているところだよ。」


「勉強!勉強!勉強!勉強!」

びっくりした。いきなり風香が叫んだからだ。


そして彼女はいつかの薄ら笑みを浮かべ、生きていない瞳で

「あんたから勉強なんて言葉、久しぶりに聞いたよ」
と吐き捨てた


「・・・・・・。」

また八木は黙り込んで、じっと彼女を見つめた


「ねぇ、あんたが真っ先に私を疑ったって事は、

あんたが私を裏切った事を自覚してるんだよね?」


「・・・・・・・・・・。」

尚も八木は黙り続ける


「ねぇ。私達、ずっと一緒のはずだったよね?」

「・・・・。」


「黙ってないで何か話しなさいよ」

「・・・・・。」


「ああ、もういいわ。

理由を言ってくれないなら私が自分で探し出すから。」


「・・・・・・。」


「黙秘もいいところね」

風香は一向に口を開かない八木を見て、

また弦が切れたように笑い出した。









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