真実の奥に。
「神様・・・! ありがとうございます!」

そういって潮那の手を強く握る。


「ちょっと・・・大げさ。」

手を握られた潮那は呆れたようにあたしを見る。


あたしはその手を離さないまま、

「槙も、探してくれてありがと!

槙が、諦めない大切さを教えてくださったのよ!」

と、槙に笑顔でお礼を言った。

「おまえ、誰だよ」と、
また呆れた声を出す潮那とは違い、

「いえいえ。

それより千枝、それ早く出してきなよ?」

と優しく言って、ペラペラを指差す


「そうだね!そうする!」

と、張り切って言ったものの、


課題を出しそびれた(じゃねエだろ)のは、今回だけじゃない


今度こそ説教食わされるかもしれない・・・


一気にテンションが下がったあたしに潮那が気づき、

「樹也に怒られることを祈っとくよ☆」

と、笑顔であたしの背中を押した

「頼むから、その逆を祈ってくれよぅ」




国語教師、もといこのクラスの担任の名前は

栗野 樹也 (くりの じゅや)

馴れ親しみやすい性格のせいか、

クラスの皆は 樹也、と呼び捨て。


いつもお世話に(ある意味)なっているあたしは、
そんな風に呼ぶことはできない

本人の前では栗野先生と呼んでいる



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