真実の奥に。
「・・・・。

八木もなかなか失礼なヤツだよね。」

そうか?と言って笑った彼は幼い少年のように見えた


「あ、でも」

そう言って、手を止めた八木。


「気持ち読み取るのは、文章の中だけじゃねぇよ?」

「え?」

「さっき階段で、俺が好きな人いるって言ったとき、

ドキっとしたろ」

言葉が出ないというのはこのことだ

ズバリと当てられて、
すっかり固まったあたし。



「ハハッ 冗談だよ」

変な空気を消すように八木は言った

え?何が?


当たってるよ?



「さっきのは、気持ち読み取ったんじゃなくて、

俺がそうさせようとしただけ」

え?



「どういうこ・・・」



あたしの言葉を遮るように八木が立ち上がる


それを何気なく目で追うと、八木はもう一度こちらを真っ直ぐ見て、こう言った





「好きなやついねぇなら、俺にすれば?」








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