真実の奥に。
教室に戻ったあたしは、また驚かされた



「遅かったな」と、ドアの近くにいた八木があたしにそう言った

確かにそう言った

この人は、さっき自分が放った言葉を覚えていないのだろうか?


まさか、あたしがなんにも気にしてないとでも思ってるのだろうか?




信じられない、というあたしの顔を見ているのにも関わらず、

「弁当、まだ食べてないだろ?

俺たちが仕事してる間にみんなもう食べ終わってる。


一緒に食おうぜ。」



あ、そうか。

なかったことにしているのだ


気まずい空気は、ごめんってことか


それなら、あたしも八木に合わせよう


それに、八木も軽い気持ちで言ったのだろう

恋愛をしないあたしを同情して?



まぁ、そんなことどうでもいい

どうせ、答えはまだ出ていないのだから。








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