*はつこい*

――――
―――――――
――――――――――


「その後は、いいように丸めこまれた。」



「・・・・・・・・・」


「その時俺は・・・、お前とお母さんの事よりも・・・何千と関わってる部下をどうにかしなきゃと・・・その事ばかり・・・」



ポタポタポタポタ・・・



涙を流してるお父さんを
私は初めてみた。


お母さんが死んだ時だって、
泣かなかったのに。


ううん・・・
きっと違う。
私の知らない所で
お父さんはきっと泣いてた。




「ごめんな・・・ナンナ・・・
本当に俺は・・・父親失格だな・・・」


涙を流して悔しむお父さんを見て人の弱さを感じた。


お父さんだって人間なんだ。

大人なんかじゃない。
ゆっくり前へ進んで
強く生きてきたんだ。



正しい道か間違った道かなんて誰にも分からない。



でも.....





「・・・・・・・寄り道したと思えばいいよ。」



お父さんにタオルを渡した。



「・・・・・ナンナ」



< 112 / 113 >

この作品をシェア

pagetop