エイレネ
「な……なに……っ?」

ち、近い!
顔近い近い!
私は一気に顔が熱くなった気がした。
ロウの青みがかかった黒い右の目は、真剣だった。

……あれ?

私が気がついたことを発しようとしたときだった。

「ねぇ……以前、何処かであったことある?」

「……へ?」

「なんか懐かしい感じがするんだ」

ロウの目はまだ私をじっとみている。
私はそこから逃れようと、顔をそらした。

「記憶にないけど……てか、ずいぶん古臭い口説き方ね!そんなナンパじゃあ、だれも落ちないよ」
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