エイレネ
「ちょっとど忘れしただけだよ!ねぇ、もっと近くで見ていい?」

「いいよ」

あっさりと狼は了解すると、前髪をどけてくれた。
そこには綺麗な水色の瞳があった。
アクアマリンの色に似ている。

「綺麗」

「さんきゅ。……でもこっちは見えないんだ」

「えっと……?」

「右目は視力1.5あるのに対して、左目は0.1もない」

狼が悲しそうな笑みを浮かべた……気がした。
実際は無表情だけど。
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