エイレネ
「もう部屋に入ろう」

そういう狼の顔は青ざめている。

「ねぇ、大丈夫……?」

「とりあえずは」

狼は船に乗ってすぐに体調を崩した。
おそらく船酔いだろう。
アテ島に来るときもこうだったと話していた。

「部屋もどるよ。狼も横になったほうがよさそうだし」

乗った時よりも明らかに具合が悪そうだ。
きっとカーディガンが必要なのは、私より狼だ。
私がカーディガンを脱ごうとしたら、狼はその行動を手で制した。

「大丈夫。寒くはない」

狼はそういってあるきだす。
私はそのあとについていった。
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