エイレネ
「まぁ……とにかく無事にきてくれてよかった。疲れているところ悪いが、もう中央区に向かってもいいか?」

「はい、大丈夫です。もう準備はすませてあるので。よろしくお願いします、破牙さん」

私がそういって頭を下げると、狼も軽くだけど礼をした気配がした。

「じゃあ行こう。あ、俺のことは竜でいいから」

竜さんはそういうと、早々と歩きだした。
慌ててついていく私の後ろを、不満そうに狼がついて来た。
私は心の中で、どうか二人が喧嘩しませんようにと願うばかりだった。
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