エイレネ
「夏実の目の前の奴が動いたら、一斉にいくぞ」

「……ああ」

指示だ。少し不服だが仕方ない。私が同意すると、

「大人しく従わないと、殺すぞ!」

という怒声が後ろから聞こえた。

「やれるもんならどーぞ」

アイツが挑発する。

「まぁやられるまえにやってやるけど、な」

私も便乗した。
セーフティーを外し、撃つ準備を整える。

「このヤロウ……ッ」

弓をもった奴がそう吐き捨て、腕を上げた。

「散れ!」

その声を合図に、私達は散った。
剣の奴はアイツ、弓の奴は私、ダガーの奴は夏実。今までリアクションの無かった夏実もしっかり動いていた。それを感じ、少々ホッとしながらも目の前の奴に集中する。
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