あんたに夢中!
「今度の日曜日、デートしませんか?」

三浦くんにそう言われたのと同時に私の前に差し出されたのは、映画のチケットだった。

「で、デート…?」

ジョーダンじゃないわよ!

ジョーダンなら4月の最初に言え!

「ごめんなさい。

その日はちょっと都合が悪くて」

テキトーに笑顔作りながら、私はデートの話を断った。

「…お見合い、ですか?」

目の前の唇から発せられた単語に、私は耳を疑った。

「えっ…?」

どうして、知ってるの?

お見合いの話をした相手は、主任と真希だけのはずだ。

「噂になってるんですよ。

今度の日曜日に冴子さんが取引先の人とお見合いをするって」
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