瑠璃色の華

比翼連理

「蓮さーん。ごめんこれ洗ってもらってもいい?」

そう言って差し出された一枚の手拭い。

「分かりました。乾いたらお部屋のほうにお持ちしますね。」

蓮は隊士から手拭いを受け取り井戸へ向かおうとする。

「ついでにこれも頼もうか。」

その声と共に蓮の腕にバサバサと洗濯物が積み上げられた。

「…斎藤様。何かの嫌がらせでございましょうか?」
蓮が言うと斎藤は心外だと言わんばかりの声音で言った。

「俺は、君が女中だから頼んだだけだ。女中とはこういったことをするための人間だろう?」

それだけ言ってスタスタと斎藤は戻って行った。

桃は今台所の方にいるし紅は山崎と監察の仕事に行っている。

「1人で洗うしかないようですね。」

< 106 / 109 >

この作品をシェア

pagetop