瑠璃色の華
「んだよ。ぱっつぁんまでー。」

叩かれた頭をさすりながら永倉を睨む。

「飯前に卑猥なこと言ってんじゃねぇよ。まったく。斎藤が怒るのも無理ないぜ。」

なぁ?と最初に原田を叩いた斎藤へと視線を移す。

「あぁ。飯が不味くなる。」

んだよー。と不満だらけな様子の原田を見かねた藤堂が原田に言う。

「でも、ほら。土方さんが言ってた姉妹。夕餉の時に紹介するって。そろそろ来るんじゃない?」

藤堂の言葉に斎藤が箸を止めた。

「姉妹…?」

藤堂の方を見て問い返す。

「うん。総司が拾ってきたらしいよ?」

藤堂がポリポリと沢庵を食べながら答えた。

「どんな女なんだ?」

斎藤が聞くと、ポンと永倉に肩を叩かれた。
スッと障子を指差して言う。
「百聞は一見にしかず。なっ!!」

ニカッと笑って言う永倉の差した障子から近藤、土方、沖田、山南、山崎。そして、女が3人入ってきた。
「1人は盲目か?」

斎藤は土方に手を引かれながら歩く女を見て言った。
「あぁ。病気のせいらしい。」

見慣れない女の登場に驚いて静まり返った部屋に永倉の声が響いた。

< 86 / 109 >

この作品をシェア

pagetop