弟くんと危険な関係！
心地よい風があたしたちを包む。

生徒たちの笑い声がかすかに聞こえて来た。


「ほたる」


健太はそう言うと、急にあたしを抱き締めた。



あまりに突然の出来事で、あたしは言葉も手も足も出ず、ただただ健太に抱き締められていた。



しばらくして健太はあたしから離れた。


あたしと目が合うと健太はニコッと笑い、


「今ので忘れるから。最後に『恋愛として好きだったほたる』を抱き締めたかった。突然ごめんな。これで俺も前に進むから、ほたるも進めよ。」


健太はあたしの頭をポンっと叩いた。



「あいつと仲良くしろよ。俺があきらめた意味がなくなるなんて許さねえからな。」



なんで健太はこんなに優しいんだろうか？


「また明日な！」



健太は部活に行くからと、屋上を後にした。



屋上から一歩出た健太は少し目が赤かった。
もちろんそんなこと、あたしは気付かなかったけど…。
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