Princess Secret
Ⅰ
一万年前
「ソフィア様。朝ですよ」
「…はい。起きてます」
「朝食を運んできますので少々お待ち下さい」
「ありがとうございます。クリスさん」
タッタッタッ。使用人クリスの足音か聞こえた。彼女──ソフィア=オーランスディアはクリスの足音が段々と消えていくのを確認すると、枕元にあった一冊の本を読み始めた。
彼女は本が好きだ。今読んでいるのは約一万年前のこの世界の歴史である。
「──八人の勇者は見事に人間界を守りました。ですが、勇者ノエル、ユリア、ユーリィ、レイの四人は──……」
「ソフィア様。朝食をお持ちいたしました」
「あ、はい。どうぞ入ってください」
ソフィアは本を閉じた。
「(いい展開だったのに…)」
1人で落ち込んでいると、入ってきたのは使用人クリスではなくメイドだった。赤色のリボンを身につけていた。どうやら新米メイドだろう。
「クリス様は急用を思い出したので私が持ってきました。新米メイドのナッツです」
「よろしくお願いします」
「では、失礼します」
ナッツが部屋から出るのを確認すると再び本を読み始めた。
「──勇者四人は行方が分からず、共に人間界を救った勇者メリルは家でノエルが帰ってくるのを毎晩のように祈り、勇者シングは毎日ユリアの家を訪ね、勇者アスカは仕事を終えると1人でユーリを探しに行っていた。そして勇者アリスは森の中で涙を流しながら歌を歌っていました。ですが、そんなある日──……」
「ソフィア様。入っても宜しいでしょうか?」
使用人クリスの声だった。
「はい。どうぞ」
「失礼します」
「(また、いい展開だったのに…)」
再び落ち込む。
「ソフィア様。本を読むのもいいですが、食べ終わってから読んでくださいと何度も何度も言っているでしょう」
「……はい。気をつけます」
ソフィアは本を隣に置くと朝食を食べ始めた。
「…はい。起きてます」
「朝食を運んできますので少々お待ち下さい」
「ありがとうございます。クリスさん」
タッタッタッ。使用人クリスの足音か聞こえた。彼女──ソフィア=オーランスディアはクリスの足音が段々と消えていくのを確認すると、枕元にあった一冊の本を読み始めた。
彼女は本が好きだ。今読んでいるのは約一万年前のこの世界の歴史である。
「──八人の勇者は見事に人間界を守りました。ですが、勇者ノエル、ユリア、ユーリィ、レイの四人は──……」
「ソフィア様。朝食をお持ちいたしました」
「あ、はい。どうぞ入ってください」
ソフィアは本を閉じた。
「(いい展開だったのに…)」
1人で落ち込んでいると、入ってきたのは使用人クリスではなくメイドだった。赤色のリボンを身につけていた。どうやら新米メイドだろう。
「クリス様は急用を思い出したので私が持ってきました。新米メイドのナッツです」
「よろしくお願いします」
「では、失礼します」
ナッツが部屋から出るのを確認すると再び本を読み始めた。
「──勇者四人は行方が分からず、共に人間界を救った勇者メリルは家でノエルが帰ってくるのを毎晩のように祈り、勇者シングは毎日ユリアの家を訪ね、勇者アスカは仕事を終えると1人でユーリを探しに行っていた。そして勇者アリスは森の中で涙を流しながら歌を歌っていました。ですが、そんなある日──……」
「ソフィア様。入っても宜しいでしょうか?」
使用人クリスの声だった。
「はい。どうぞ」
「失礼します」
「(また、いい展開だったのに…)」
再び落ち込む。
「ソフィア様。本を読むのもいいですが、食べ終わってから読んでくださいと何度も何度も言っているでしょう」
「……はい。気をつけます」
ソフィアは本を隣に置くと朝食を食べ始めた。