だから。
なおの恋
キャー
ドンドン
あたしの座るベンチには
キラキラ輝く楽器をもった吹奏楽部員たちと
メガホンをもった野球部員たち。
9回裏
攻撃
2対1で負けている。
ツーアウト一塁三塁。
これでとれなかったら負けだ。
バッターは、ともや。
「かっとばせーともや!!ともや!!」
ボールがともやへむかって飛んでいく。
ともやのバットが宙をきる。
「スリーアウト!!バッターアウト!ゲームセット!!」
ともやがその場に崩れた。
ベンチからこうたがでてきた。
ともやを立たせ、何も言わず肩に手をおく。
そして、泣いた。
ううん、涙は見えなかったけど
目を腕でぬぐっていた。
あやともなぎさくんも
泣いていた。
ふと横を見た。
なおも泣いていた。