幼なじみ物語
「翼先輩ねー、見た目はああだけどめちゃくちゃ頭いいんだよ。真面目で正義感も強いし」


あたしは「ふぅん」と返す。特に興味があるわけでもないから、嘉津と沙保の話によく入っていけなかった。

その日、昼休みにあたしは嘉津と二人で歩いていた。その時、ふと前を見ると翼先輩が数人の友達と歩いていた。


「碧依っ!あれ翼先輩じゃん!」


嘉津が耳元で興奮しながら言った。


「おっ、碧依じゃん。あれから何もされてないか?」


すれ違い様に翼先輩があたしに話しかけた。あたしはびっくりして翼先輩を見上げた。


「は、はいっ!あ、ありがとうございました!」


思わず声が裏返ってしまった。翼先輩は笑いながら口を開く。


「それは良かった。てか敬語とかいらねーから。仲良くしようぜ」


翼先輩はあたしの頭を撫でて通り過ぎて行った。




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