空を見上げて
「終わった~!」


チャイムと同時に、教室に茜の声が響いた。


「よし、後ろから答案用紙集めてくれ~」


先生の声で一番後ろの生徒が立ち上がる。

それより、先生の声より、茜の声の方が先に聞こえるってどういうこと?

そんなツッコミを心の中で入れながら、ホッとため息をつき、椅子の背もたれに寄りかかる。


「どうだった~?」


答案用紙を回収し終わった後、蒼が振り返った。


「う~ん。まぁまぁかな…。」

「マジ?俺、イマイチ~。」

「またまた!」


こんな風に男の子と話している自分を、転入前までは想像ができなかった。


テストが終了したので、ホッとしたけれど、いよいよ来てしまった…。

一度帰ってからって言うのが、少しめんどくさくも感じる。

でも、私の歓迎会って名目上、私が行かない訳にはいかないんだろうな…。


「よっしゃ!そんじゃぁ6時、駅前集合!参加できない人は、事前に茜様まで連絡するように~。」


まだ、先生もいるにも関わらず、私たちの会話に茜の声がかぶさってくる。

茜様って…自分で言うか?

茜らしいけど。


「テスト終わったからって、羽目外すなよ~!」


そんな担任の声を聞きながら、クラスメイト達は足早に教室を出る。


「茜?」

「何?」


私は、無理を承知で、恐る恐る茜を見上げる。


「その…私…。」

「却下!」


なっ!

言わせてももらえなかった!


「どうせ、「行かない」って言うんでしょ?」

「うぅ…。だって、参加できない人は茜様までって、今言ったじゃない。」


それでも、食いついてみたものの、今までの茜を見ていると、「ダメ」って言われるのは目に見えている。

私たちの会話を聞きながら、蒼はクスクスと笑いながら帰る支度を着々と進める。


「美月と、相原の欠席は認めないから!」


やっぱり…。

そう思うと同時に、蒼からは「俺もかよ!」と驚きの声が上がっていた。

まぁ、蒼はそういう場には不可欠な人な気がするから…。

茜に賛成なんだけど。
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