空を見上げて
無事に帰宅し、着替えを済ませて、まだある時間をどう潰そうか考えていた時、大変な事に気付く。


はて…。

待ち合わせ場所にはどうやって行けばいいんだ?


ただでさえ、方向音痴は私は、学校までの道のり以外、ほとんどわからない…。

急いでパソコンを開き、インターネットで検索を始める。

プリンターはまだ設定していなかったため、とりあえず頭にたたき込み、出発予定時刻を少し過ぎてから慌てて部屋を出た。


最寄駅はここなのか…。

引っ越しをしてきて1週間。

学校に、徒歩で通えるところというのが、私の部屋探しの第一条件だった為、交通機関を使うのも初めてだったりする。

というか、この距離だったら、普通に歩けたんじゃないか?

そんな事を考えながら、頭にインプットした地図を懸命に思いだし、恐る恐るバスを降りた。

やっとの思いで辿り着いた待ち合わせ場所。

ホッと一安心しながら、不意に腕時計に視線を落とす。

…早く来すぎた?


自宅からどのくらいの時間がかかるかなんて、当然把握していなかった。


5時15分。


待ち合わせの時刻より45分も早く来ちゃった…。

というより…ホントにここでいいんだよね?

そう思うと、不安が押し寄せてくる。

茜に確認してみよう。

そう思ってカバンから携帯を取り出し、メールを作成する。


「美月!」


周辺をキョロキョロと見渡している怪しげな私に声が掛かる。

声の方向に顔を上げると、蒼が手を振っていた。

手を振り返し、駆け寄る蒼に歩み寄る私。
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