空を見上げて
秋野さんは、私の呼びかけに、眉間にしわを寄せる。

そんな顔して、勉強なんてね…。


「ここ…」


その返事…。

ホントに勉強を教わる気なんてサラサラなかっただろうに。

しかも私に。

勉強を教わりたいなら、それこそ蒼に話をしているはず。

少し説明しただけで、『わかった!ありがとう』と言う秋野さん。

教室を出て行くのを見送った。


「アイツ、何考えてるんだろうね!」

「はは…絶対勉強がメインじゃなかったよね。問題もわかってたっぽいし。」

「確かに!」


そんな話をしていると、教室のドアがガラっと空き、

秋野さんが戻ってきたのかと思い、茜と二人、勢いよく視線を移動する。


「何、そんなに驚いてんだよ…」


教室に入ってきたのは、秋野さんではなく、職員室から戻ってきた蒼だった。


「なんだ、相原か…ビックリさせないでよ!」

「なんだよ…聞かれてまずい話でもしてたのか?」


そう言いながらさっきまで、秋野さんが座っていた椅子に腰をかける。


「え?!駿河が教科書開いてる!今日は雨か…」


快晴の空を見上げてそんな事をつぶやく蒼。


「何それ!二人とも失礼だから!」

「だって、茜が勉強なんてするから。」

「実際してないし!」


だから、自慢できないってば…

口には出して言えないけど。

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