空を見上げて
「美月の家から駅まで30分くらいか?」

「あ、うん。そんなもんかな?」


帰り道。

いつものように、蒼と一緒に私のマンションまで向かって歩いていた。

初日は、お母さんの自転車を借りてきてくれていた蒼だけど、最近はずっと歩きだった。

校門で、二人乗りをしているのを発見され、担任にこっぴどく叱られたから…。


「じゃぁ、迎えに行くから待ってろよ!」

「え…一人で大丈夫だよ!」


出かける度に一緒って訳にもいかないし。

最近、茜と蒼への依存率が上がってる気がする。

二人がいないと何もできなくなってしまうような気がして怖い。

…まぁ、気の持ちようなんだろうけど…


「なんで?俺、なんかした?」

「え?そんな、まさかぁ!」


私が頼りすぎてて申し訳ないだけ。

蒼も時々、ネガティブになるよね…。


「何もない?」

「ないよ!」


蒼は私をジッと見て、少し考えている。

一瞬、おでこにされたキスの事を思い出し、顔が赤くなる。

マズイ…

そう思った瞬間、蒼の視線は私から逸らされた。

ほっ…。


「じゃぁ、迎えに行く!余計なことは考えないように!」


…私がわかりやすいだけなのか…

それとも、茜や蒼が、人の気持ちを察する能力が高いのか…。

いずれにしても、私が考えていることはバレバレのようだった。

結局、家まで迎えに来てくれた蒼。


「なんか、いつもゴメンね?」

「俺が好きでやってんだから気にすんなって言ってんだろ!」

「イッタっ!」


蒼にデコピンを食らわされ、オデコをさする私を、私を見下ろす蒼のクスクスと笑う笑顔を見ていると、心がほわっと温かくなって許せてしまう。

ホントに不思議な人だなぁ…。
< 129 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop