空を見上げて
教室で話しをする人と言っても、やっぱり『男の人』に対する私の警戒心は半端じゃない。

ましてや、蒼と二人で話をするなんて初めての事。

距離を確実に保ちながら会話をする。


「やっぱり、美月は早く来るタイプだと思った。にしても早くないか?」

「あ…道がよくわからなかったから、早めに出たら、こんな時間に着いちゃって。」


私の返答に、息を切らしながら笑う蒼。


「でも、蒼はどうしてこんなに早く?」

「ごめん、言うの忘れてて…。」

「何?」


わざわざ走ってきてくれて伝えたいことって…?

何か重要な事?


「駿河なんだけど…。」

「うん…。」


何だろう。

茜がどうかしたのかな。

肩で呼吸をしながら話す蒼の言葉は途切れ途切れで、私の思考は悪い方へと想像を広げる。


「何かあったの?」


私の問いかけに、少し苦しそうに首を横に振る。

どういうこと?


「アイツ、すげー時間にルーズなんだよ。」

「は?」


思わず間抜けな反応をしてしまう。


蒼曰く…茜は、集まりの時は主催者側で、時間や、場所など指定はするものの、自分の決めた時間に来た試しがない。

30分遅れが平均で、時には1時間以上遅れることもあるらしい。

そんなことを、みんなが知っているため、茜の指定した時間から15分前後で集まる人が多いらしい。


「それでも、駿河より遅く来たやつは怒られるからな。さすが茜様だよな!」


そう言って笑っていた。
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