空を見上げて
聞いていいのかな?

二人とも、あんまりこの手の話はしてこないから。


「…茜と付き合ってるの?」

「ぶはっ」

「ちょっ!」


私が質問した直後、蒼は口に含んでいた水を噴き出した。

期待とは裏腹に、大袈裟なくらいのリアクションが返ってくる。


「なにそれ…誰か言ってたの?」

「いや、違うんだけど…仲いいから、そうなのかなって思っただけ。」


蒼は、テーブルを拭きながらため息をつく。

…やっぱり、聞いちゃいけなかったっぽい。


「ごめん…忘れて。」

「え?いや、違うよ。付き合ってない。」

「そうなの?」


あっさりと否定する蒼。


「仲はいいけどさ、アイツは男友達みないなもん!」


あんなキレイな子捕まえて、男友達って…。


「それに、アイツ彼氏いるし!」

「そうなんだ!そうだよね…。あんなキレイな子、初めて見たもん!」


それこそ、彼氏の一人や二人って話だよね。


「アイツがルーズなのはクラス全員が知ってるし…。俺の親友と付き合ってるから、尚更仲好く見えるんだと思う。」

「そうなんだ。」


茜と彼氏は中学の時から付き合っていて、高校は違うけど、よく会っているらしい。


でも、クラス全員に知れ渡る程のルーズっぷりって…。

まぁ、茜っぽいっちゃ茜っぽいか。

なんだか妙に納得してしまう私。


「今度、紹介するな。」

「え…あぁ。うん。」


『紹介』…か。

イヤな響き…

出来れば、その場は避けたいな…。


「茜の…彼氏さんって、やっぱりカッコイイの?」


話題を変えたい…。

紹介なんかして欲しくない…。

あの時、私が会っていなければ、違う未来があったのかもしれない。

私は、ずっと…あの日を後悔していた。
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