空を見上げて
動揺を落ち着かせる為、また空を見る。

早く行かないと、また心配かけちゃうかな。

そう思いながらも、あの席に戻るのも気が引けて。

ようやく重い腰を持ち上げ立ち上がったのは蒼が戻ってどれくらい経ってからだろう。

トイレに向かう途中。


「やっと来た!」


蒼…もしかして、私が戻るのをここで待ってた?

ニコッと微笑むと、クシャクシャッと私の頭を撫でた。


「髪まで冷えてんじゃん?大丈夫か?」


今度は、払いのけはしなかったけど、やっぱり体は正直で。

冷静でいようと思っても、ビクっと反応してしまう。

顔を上げられないまま、小刻みに震える手に力を込める。


なんとか普段通りに接しようと、私は髪を直しながら、蒼を見上げる。

やっぱり、秋野さんとのこと、何か気付いてるのかな…。

ちゃんと話した方がいいのかな。

いや、それよりも、私の体質の事を…。

でも…。

1人でグルグルと無限ループに突入した私。


「何、百面相してんの?」

「あ…う…」


なんか、今日は蒼に恥ずかしいところばっかり見せてる気がする。


蒼が私のところに来た事は、秋野さん達にもばれてるだろうから…。

また、何か言われるのかな…。

そう考えると、更に気が重くなってきた。


「美月が着るとデカいな!」


そんな私の心情を知らない蒼は、私のブカブカパーカー姿を見てクスクスと笑いながら私を見回す。

身長差、どれだけあると思ってるんですかっ!

私の身長は、蒼の肩くらいまでしかないんだから、大きくて当たり前。


「どうせチビですよっ!」


気にしている事を言われ、一言くらい言い返してやりたくて。

唇を尖らせ、反論した。


笑うかと思ったのに…。

真剣な顔をして、そんな事言うから…。

私の心臓は脈が乱れて行く…。



「…可愛いよ。」
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