空を見上げて
「送って…くれたんだよね?」

「……あぁ」


ぶっきらぼうに答える蒼。


「…ごめんなさい」

「いや…」


気まずい空気が流れる。

初っ端から何やってんだろ…私。

男の子に甘えるなんて…。

考えられない。

何も…なかったんだよね?

確認するのが怖くて。

男の子を部屋に入れてること自体、あり得ない。

いや、教えることだってありえないのに…

抱えてたって……

色々な事を混乱する頭で考えたけど、やっぱり信じられなくて、でも…ここに蒼がいることは事実。

私は、俯いたまま黙っていた。

沈黙を破ったのは蒼。


「一人暮らしだったんだな」

「あ…うん」


親の都合で転校したのに一人暮らしって…おかしいと思われないかな…


「まぁ、ラッキーだったかもな?美月の寝顔見れたし?」

「…っ!バカっ!」


蒼は私の頭を軽く叩きながら笑っていた。

こんな時に、そんな冗談言うなんて!

デリカシーのない奴!


「何にもしてないから、安心しろよ」

「え…」

「心配してんだろ?」


頭を掻きながら目線を少しそらしながら言う。

テレてる?


「心配するのもわかるけど、俺は酔いつぶれてる女を襲うほど飢えてませんから!」


あ~、そぅ。


「まぁ、蒼なら、取っ替え引っ替えできるほどおモテになるでしょうしね!」


飢えてるとか、飢えてないとか…飢えてたら手当たり次第なのかって話。


「何、熱くなってるんだよ…」

「…別に」
< 49 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop